JOCA連載コラム vol.26

福島オーガニックコットンそして福島の今

JOCA理事 竹内 宏規

関西学院KGコットンプロジェクトの一員として、2年目を迎えた福島オーガニックコットンプロジェクト、そして3.11から2年半となる福島の今を取材してきました。

福島オーガニックコットンプロジェクトは、一人一人が厳しい環境にありながらも、それを乗り越え、人の輪としごとをそして小さいながらも産業を作り出そうとしているプロジェクトです。

ここでは日照時間や気温の高さが特に必要とされる綿の生育にベストの条件が揃っている訳ではなく、昨年の栽培後半にはせっかくついたコットンボールが開かずにかびてしまい、収穫量が予想を大きく下回ったというファームもあります。その意味では決して順風満帆に事が進んでいるという訳ではありません。

しかしそれでも、誰も綿の栽培をあきらめたり放り出したりもせず、それどころか、拡がりつつある耕作放棄地を一つづつ借り上げそして増やしつつ、原発事故による強制避難を余儀なくされている人たちにも呼び掛けて、みんなのしごとを少しでも拡げようと努力されています。その皆さんのミーティングで、「オーガニックコットンといえば福島、福島といえばオーガニックコットンといわれるようになりたい」と語られる姿がとても印象的でした。

今回の取材を通じて、一方で原発事故の影響から何も変わらない変えられない現在の福島の厳しい状況を多くの方に知ってもらい、また一方で、だからこそもっと前向きに生きようと一人でも多くの人に働き掛ける努力をしている人たち、それをどこまでも支えようとしている人たちの存在を知って頂き、そしてその思いをも共有して頂くことができればと思います。

年末までに編集を終えてDVD化し、できれば短くしたものをYouTubeで見て頂けるようにもしたいと思います。乞うご期待。

JOCA連載コラム vol.25

オーガニックコットンのUV効果

JOCA理事 木村 彰

今年の夏は各地で猛暑と豪雨が猛威を振るっていますが、私の住む山梨県でも7月に
39度を超える日が3日も続きました。特産品である葡萄の栽培は、程よい寒暖の差が
良いといわれていますが、昨今の猛暑続きで「ワイン産地としての優位性が揺らぐので
は」という危機感もあり、ブドウの実を扇風機で冷やすなどの実験が行われているそう
です。猛暑の影響は私たちの身の回りに様々な悪影響を及ぼしています。

また、日中の強烈な日差しは気になるところですが、私たちは、この有害な紫外線から
身を守らなければなりません。

オーガニックコットンがUVカットに優れていることは、よくご存じだと思いますが
試験機関で調べてみると、そのデータには驚かされます。

(一般的に紫外線は、紫外線A波、B波、C波があり、紫外線C波はオゾン層で吸収され、
地表には届きませんが、オゾン層を通りぬけた一部のB波とA波は地表に届き、日焼け
など皮膚に悪影響を与えるのは紫外線B波です。紫外線遮蔽率はA~C波までの全波長
に対してのデータです。)

検査結果はこちら→http://www.joca.gr.jp/download/20130806kensakekka.pdf

画像をご覧いただくと綿は紫外線など外部からの刺激から中にある種を守るために、
まるで赤ちゃんを優しく包むお母さんのように大切に種を守っているのがよくわかります。

厳しい環境変化の中で生き残っていくために綿が本来持っている“自然のちから”は
偉大で、尊いですね。

先日誕生したロイヤルベビーが、お披露目の際に7月の暑い時期にも関わらず、綿の
ニットアフガンに優しく包まれていましたが、私たちも、自然の恵みを活かした素材をより
意識して身に着けたいものです。

JOCA連載コラム vol.24

有機米を召し上がれ!

JOCA顧問 作吉 むつ美

今年の梅雨は長くて、雨量が少なくて変だ。毎年、気候の変動があり、もはや異常気象などという言葉を使うことも稀ではないかと思う。私の住む静岡では空梅雨となりそうな状況だが、心配なのは、飲料水や生活水だけではない。私たちの主食である水稲の栽培は大丈夫だろうか。今日は有機米と他のお米との違いを紹介したい。


◆種もみ
そもそも、米は自分で収穫した種を保管しておいて翌年の栽培に使うことができる優良な作物である(もちろん、野菜などでもできるけれど、手がかかるし、品種の特性をいかすのが難しい)。もちろん、米だって品種改良がすすんでいるから、それを続けると、だんだんもとの形質が表にでてきてしまう。なので、3年に一度程度の頻度で種子更新といって新しい種を購入することが多い。もちろん、遺伝子組み換え品種は使えない。
有機栽培だと、原則は「有機の種」を使うように基準で要求しているが、この3年に一度の更新のときは、やむを得ないので有機でない種もみを使ってもよいことになっている。しかし、不要な種子消毒(育苗中は病気にかかりやすいため、殺菌剤などを使うことが多い)は認めていない。そこでよく取り入れられているのは、「温穏消毒」。ギリギリの温度(60℃ぐらいから65度ぐらいが多い)のお湯に種もみをつけ、菌を減らすのだ。最近は自動でお湯の温度管理ができる機械があるし、有機米だけでなく特別栽培米でもよく利用されているが、昔はお風呂を使ったりして工夫していた。
二十年近く前、ある地域の農協関係者が有機米づくりに取り組みはじめたころ、有機のポイントを説明するよう呼ばれたことがあった。種もみを化学農薬で殺菌をしてはいけないことを説明すると、技術士と呼ばれる米作りの指導者が、半分おこりながら「そんなことをしたらばか苗病がでて、苗が作れない」とのたまう。一方で、現場で指導する農協の担当者は「去年まで、三種混合薬剤で殺菌しなくてはダメだとさんざん言っていたのに、今年はいっさいするなと言わなくてはいけなくて。でも、できちゃったんですよねえ」と頭をかきながら笑っていた。

書類検査風景


この農家さんの田んぼのお隣では、農薬を散布するため、
隣接するところを、先に手刈りしている。2012年産のその
作業を写真や記録に残し、検査員に説明しているところ。
(帽子をかぶっているのが検査員)

◆育苗
苗半作、という言葉はご存じだろうか。苗づくりは最終的な作物の出来の半分ぐらいを左右するぐらい、技術や労力のいることであるというのを指している。人間でも赤ん坊の世話はいろいろ手がかかるのと同じようなものだと思えばよいか。
まず、種もみをまくための土(苗床)だが、これは有機認定をうけたところ(圃場)の土を使えばよい。でも、田んぼの土にはいろんなものが入っている可能性がある。安定した苗づくりには、変な菌がはいっていないものや、pHの安定したものがよいため、よく山の土をほったものなどが使われる。しかし、この山で、たとえば松くい虫のための防除があったり、産業廃棄物から化学物質などが流れ出たりしていてはいけない。有機認定をうけた圃場と同じように、過去2年以上にわたって、薬剤などによる汚染がないことを確認しなくてはならないのである。もちろん、肥料分の補填や土壌改良剤などについても、制限がある。化学合成肥料などは使えない。
二十数年前ぐらいまでは、育苗中は少量の化学肥料を使っても「有機」という言い方をしていた。種の殺菌以上に、育苗に化学肥料を使えないことは技術的に難しいようで、有機栽培に取り組み始めたばかりの人達が、失敗してしまうことが多いのが、この苗づくり(苗が十分に成長せず、田植えの時期を迎えてしまうなど)。今では、有機の肥料でも使いやすいものが増え、技術情報の交換もあり、だいぶ失敗は減ったようだ。でも、神経を使って取り組まなければならない大事な工程であることに違いはない。

◆田んぼの管理
自分で田植え機にのってみればわかるけれど、平らにみえる田んぼも実はそんなにビシッと平らにできているとは限らない。田植えの前には、肥料をまき(もちろん、有機肥料)、整地をし、水をはって準備をするのだけれど、代かき、と呼ばれる整地工程が大事である。一枚の田でも、浅いところや深いところ、堅い地盤のところや、ずぶずぶなところがあったりする。そこをいかにならしていくのかが、腕のみせどころである。
有機米栽培といえば、最終的にはほぼ「雑草との戦い」みたいなところに凝縮されるが、戦いは、この代かきから始まっている(もっといえば、冬場の管理からだが)。雑草とよばれる植物たちは、生命力が旺盛だ。この時期、種を表層に引き出し、早めに発芽させてしまうことで、後の雑草管理を楽にする。地域によって、水事情は異なるが、二度代かきをする方も多く、一度目と二度目の感覚がポイント…..などという話を聞かせてもらえると、
ちょっとわかったような気になる。

草とりナウー


撮影日 2013年7月1日。田植えは5月下旬だが、そのあと
機械を使っての除草を3回。しかし、たっぷりとコナギが
田んぼに見える。ご夫婦で取り組む農家さんで、この日は
ご主人が検査に対応、奥様がせっせと草取りに励んでいた

除草剤という便利なものがあるが、有機栽培では使えない。そのため、田んぼの中に雑草が繁殖しないよう、いろんな工夫がされる。ひとつには紙マルチ。古紙を材料につくったシートを引きながら田植えをする方法(紙マルチ用の田植え機がある)。この紙は、時間がたつにつれて溶けるのだが、苗が小さいうちは表面を覆っているので雑草がはえにくい。溶けたころには、稲が大きくなり、日の光をさえぎるため、雑草が繁茂しにくいという仕組みだ。
また、合鴨を使って、田んぼの草を抑えるという方法も盛んである。鴨が泳いで水を濁らせることや、水中の虫をついばみながら雑草もつついてくれたりする。日本で生まれたこの合鴨栽培は、お隣の韓国にも伝播し、合鴨村と呼ぶべき地域もあるほどである。しかし難しいのは、鴨の管理。田の隅々まで動いてもらうためには、餌の上げ方など、コツがあるようだ。苗をなぎ倒してしまう鴨もいて、すごいところでは畔をつつきまくって田んぼが2枚つながっていた例にもでくわしたことがある。はじめ15羽(10aあたり)いたけれど、野犬やキツネなどにやられて、最後には数羽しかいないというのはよく聞く話。カラスなどに鴨がやられないようテグスをはったのはいいが、自分が田んぼに入るときは、ひっかかってしまったとか。鴨のお役目が終わっあと、かわいくて処分できなかったなんてこともある。

鴨が脱走中


元気な鴨たちが、せっせと虫をついばみ、稲のあいだを行き来している….
と思いきや、数羽が電柵の外に脱走中。
野犬などに襲われるので、最近は脱走よけのためのネットでは足りず、
電柵をつけている農家も多い。でも脱走されてしまえばねえ…飼い主なら
ず、指揮官(?)の心知らずの鴨たち。

そのほかの雑草管理の方法としては、くず大豆を使うとか、米ぬかを使うなどもあるし、除草機も様々に開発されたり、器用な方は自分でいろんな道具を作り、グループで集まると皆でその成果を交換しあうので、検査が止まってしまうこともある。仕事は途中で止まってしまっても、この貴重な情報はこちらも耳ダンボにして聞き入ってしまうところだ。
また、雑草との戦いというのは、実は田んぼの中だけではない。その周辺の畔(あぜ)の草の管理も含まれている。有機栽培米づくりに取り組む人達は、暑い夏のさかり、田んぼの中の草取りのほか、畔の草刈りを3~4回している。一度、草刈りのタイミングを逸してしまった田んぼに検査にいった。草むらのようになったその畔には、虫が生息しているので、今刈り払うと、周りに迷惑がかかるというので、そのままにしているという。背丈ほどにも伸びた雑草をなぎ倒しながら歩き、記念写真までとってしまった。コンクリートに囲まれたところに暮らす方ですら、ちょっとした隙間から生える草を目にすることがあると思う。そう、彼らはすごいのだ。多少踏みつけられても、たくましくまた立ち上がる。彼らはすごいのだ。

自分だけではなく、周辺との関係のむずかしさ
さて、田んぼには水は欠かせないものだが、頭痛の種でもある。地域によって水まわりの環境は大きく違うが、隣の田んぼで使った水を再利用する形で使うことも多い。しかし、その隣の田んぼで化学肥料や農薬が使われていれば、水をとおして有機の田んぼにも入ってきてしまう。これを避けるために、水入れのタイミングを工夫したり、「浄化水田」といって、自分の田に水が入る前に炭を入れて浄化したり、水路に雑草などをたくさん繁茂させてみたりしている。
また、栽培期間中は、虫が発生しようが、病気が広がろうが、原則農薬に頼ることはない。私が出会う有機米栽培農家で、田んぼに農薬を散布した話はほとんど目にすることはない(基準ではごく一部、農薬が認められているのですべての有機米が無農薬とはいいきれないが)。しかし、周辺の農家が殺虫殺菌剤などを散布することに異を唱えることはできない。最近は農家も高齢化しているので、ラジコンヘリなどで一斉に薬剤散布する地域もあり、それを避けることはやさしくない。有機の田んぼでそうした農薬は散布されないが、飛んでくるものは避けられない。自分が撒いていなくても、飛んできた、あるいは飛んでくることが明白であれば、その飛散した部分は、収穫しても「有機」として出荷できないようになっている。別に管理することそのものが手間であるが、この涙ぐましい管理によって、お届けしているのが有機米なのだ。

◆有機米を食べよう
日本の稲作というのは、先人からの叡智の結集だと思う。すでに確立した技術だけれど、昔にもどれば、みな有機という単純なものではない。二十年ほど前は、技術指導者たちやベテランの米作り農家に、有機基準の要求されている内容を説明すると、下手すれば怒鳴られたりしたものだ。それが、十年前ぐらいには、有機栽培米づくりの研究会などで、「除草剤を使わないでどのような管理をするか」さまざまな実例、経験から、喧々諤々?の意見交換があったという。
昨年あたりから、国産米が高くなり、外食産業向けの輸入米がいっきに需要が高まって入札が大変だという。こうして輸入された安い米を使って、500円玉一つで余裕のお弁当やランチ定食は、庶民の味方である。でも、私はいいたい。他ならぬ主食、日本のお米の美味しさは、知らねば損。私たちは自分が食べたもので自分の体を作っているのだもの。もし、機会があれば、有機米づくりに取り組む方たちのパワーをもらうつもりで、有機米を召し上がってほしい。

JOCA連載コラム vol.23

遺伝子組換え綿(バイオ綿)の現状

JOCA理事 日比 暉

◆バイオ綿の普及状況

綿花業界では、遺伝子組み換え綿を「バイオ綿」と言っていますので、ここでは「バイオ綿」を
使います。ご存知の通り、オーガニックコットンを含む有機栽培では、遺伝子組換えの種子は
一切使用を認めていません。
今、世界中でバイオ綿はどれほど作られているのでしょうか。
ISAAA(国際アグリバイオ事業団)の調査によりますと、2012/13綿花年度の世界バイオ綿
作付面積は、2,420万ヘクタールで、全綿花作付面積(3,420万ヘクタール、ICAC国際綿花
諮問委員会の調査)に占めるバイオ綿の比率は71%に達しています。


バイオ綿の商業生産国は2012年には15カ国になりました。アルゼンチン、オーストラリア、
ブラジル、ブルキナファソ、中国、コロンビア、コスタリカ、インド、メキシコ、ミャンマー、
パキスタン、南アフリカ、米国などです。ガーナ、ケニア、モザンビーク、ウガンダなどでも
試験生産が行われています。
この中で特に綿花生産大国のインド、米国、中国、パキスタンの4カ国でのバイオ綿生産が
進んでいます。
1996/97年度に初めて3カ国(米国、オーストラリア、メキシコ)で商品化されましたが、
バイオ綿作付け面積は70万ヘクタール(綿花作付総面積の2%)でしたから、その後急拡大
したことが分かります。
バイオ綿の生産高は、ICACの推定では、1996/97年度の60万トンに対して、2011/12
年度には1,860万トンに急増しています。
主な国のバイオ綿の普及状況を見ますと、インド92%、オーストラリア90%、米国81%、
中国67%、メキシコ57%となっており、どの国も、導入後10年ほどの間に急増する傾向が
あることが分かっています。例外は、1カ国、インドネシアで、2002/03年度に導入され、
2005/06年度に法律で生産が禁止されました。また、欧州(ギリシャ、スペイン、トルコ)で
は、まだ導入されていません。
綿花貿易の面では、どの国においても、バイオ綿に対する消費者の拒絶反応の実証的な
根拠は示されていませんし、非バイオ綿の価格と変わりなく取引されているので、意識される
ことなく、輸出入されているものと思われます。

◆バイオ綿の種類

現在普及しているバイオ綿には2つの種類があります。一つは、害虫抵抗性の付与、もう一つ
は、除草剤耐性の付与の2つです。

①害虫抵抗性のバイオ綿は、土壌細菌のBt菌(Bacillus thuringiensis)がつくる殺虫性の
タンパク質の遺伝子を綿種子に組み込んだもので、綿の木がその毒素(Btタンパク質)を作り
出して害虫(幼虫)の消化機能に損傷を与えることによって駆除するものです。Bt綿といいます。
Btタンパク質には、いくつかの種類があり、害虫の種類によって効果が異なりますので、害虫
に合わせて使い分けます。殺虫剤の使用量を減らすというメリットがあります。

②除草剤耐性のバイオ綿は、除草の労力を減らすことを目的とするものです。除草は労力の
かかる作業です。その労力を除草剤散布により軽減しますが、その除草剤によって綿の木も
弱ってしまいます。通常、除草剤は特定の種類の植物にだけ除草効果をもっていますので
(選択性除草剤)、農作物を栽培するのに、いろいろの雑草に対応するため、数種類の除草剤
を散布しなければなりません。そこで非選択性の除草剤を使えば、すべての雑草を1-2回の
散布ですべて枯らすことができます。一方、綿の木には、この非選択性除草剤に耐性を持つ
遺伝子を組み込むことによって、綿の木だけを順調に成育させることを可能にします。この
アイディアは、種子会社にとっては、除草剤と除草剤耐性種子をセットにして独占的に販売
できるというメリットがあるのです。

③Bt綿と除草剤耐性の2つを一つの種子に一緒に付与したものも開発され、併用されています。

◆繊維特性の改良

綿繊維の伸長や形成に関わる遺伝子も特定されており、繊維長を長くする働きのある遺伝子
や繊維強度を増大させる遺伝子が発見されています。保温性の向上、着色した繊維の成育
も遺伝子組換えによって可能となります。民間ベースで自由に遺伝子組換えが行われると、
どのようなことになるのでしょうか?

◆バイオ種子の問題点

バイオ技術の発展による遺伝子組換え技術の向上は、生産コストの削減や生産性向上に
大きく寄与しますので、世界的に急速に普及し、米国ではアプランド綿では、95%は遺伝子
組換えの種子が使われています。しかし、一方では自然生態への悪影響などを危惧する声
も聞かれ、国によっては、使用を認めていないところ、「遺伝子組換え種子使用」の表示を
義務付けているところもあります。有機栽培では遺伝子組換え種子の使用を禁じています。
バイオ種子が急速に普及したのは、なによりも生産面のメリットからと思われます。
害虫駆除の面では、殺虫剤の節減を図ることができます。ただ、害虫の方にも耐性ができ
ますので、耐性害虫に対するバイオ綿開発が必要となり、イタチゴッコのような事態が出て
きています。
また、除草剤耐性の方は、結果として、除草剤の使用量が増加したという調査結果があり
ます。除草剤とバイオ綿がセットになりますので、種子会社にとってはセット販売ができると
いうメリットがあります。
農家にとっては、労力の軽減が最大のメリットかと思われます。イールド(単位面積当りの
生産性)は、バイオ綿の方が高い場合が多いのですが、かならずしもそうでない農地もある
ようです。
害虫駆除の方は、特に開発途上国でよく使われる一方、除草剤耐性の方は、オーストラリア
と米国で人気があります。両方の特性を組み込んだ種子の使用が増えています。
種子の価格は、非バイオ綿より高くなるのは当然ですが、毎年種子を購入しないといけない
こととなり、農家が種子を勝手に扱うことは許されない契約になっていますので、各国で訴訟
問題にまで発展するようなトラブルが種子会社と農家との間に頻繁に発生しているようです。
近代農法で綿花生産を行う大規模農家では、毎年種子を購入播種することは当り前になって
いますが、小規模な伝統的農法の農家では、種子は自分の農地で再生産していますので、
農法を切り替える必要があり、農業の構造を変えることになります。

◆有機栽培と遺伝子組換え

有機栽培では、遺伝子組換え種子は使用禁止となっています。有機栽培は、食用農作物が
多いのですが、綿花もその一員です。有機栽培では、同じ土地で同じ作物を繰り返し栽培
することはほとんどなく、輪作をします。土地土地により作物の組合せは変わりますが、
オーガニック・コットンも食用作物と組み合わせて輪作されます。
食用作物の場合は、体に対する影響が分からないので、消費者の反発があります。
米国では、遺伝子組換え作物の製品に「遺伝子組換え」の表示を義務付ける法律をつくって
ほしいという消費者からの運動を、州議会や市議会が法令を通さないように廃案にする事例
が出てきています。
自然の生態への影響は大きな問題です。農地が広大で花粉は移動しますので、悪い影響が
発生する心配があります。バイオ綿だけでなく、すべてのバイオ作物を総合して考える必要
があります。2011年の段階で、バイオ作物は29カ国、1億6,000万ヘクタールの農地で
栽培されています。作付面積から見て、多い作物は、大豆(世界バイオ作付面積の47%)、
トウモロコシ(同32%)、綿花(同15%)となっています。
2012年10月に農林水産省から、次の通達が出ています。

①食用・飼料用としてバイオ綿花の使用を、環境への影響が低いという理由で、認める。
(綿種子は食用油の原料や牛などの高たんぱく飼料としても使用されています。)

②バイオ綿の国内での栽培は認めない。国内で綿花栽培するために綿種子を輸入する場合
は、バイオ綿でないことを、カタログやインターネット、販売店への問合せなどで確認しなけれ
ばならない。

農林水産省では、バイオ作物について、生物多様性に対する影響・環境への影響を心配して
いることがよく分かります。
バイオ作物の急速な普及を受けて、バイオ種子を排除する有機栽培は、その役割・存在意義
がさらに明確なものとなりました。持続可能な農業とは、特許に守られた大化学会社や大種苗
会社によって進められるバイオ作物をベースとするものであっていいのか、これからの地球
環境や農業のあり方に思いをはせる時、多様な小規模農業を守ることも、国の政策として大
切な選択肢ではないかと思われます。バイオ種子ビジネスを世界戦略として進展させている側
からの有機農業に対する圧力は、今後さらに熾烈なものとなることが予想されます。

(以上)

JOCA連載コラム vol.22

日本の綿作りリレー NO3
長野オーガニックコットンTシャツプロジェクト

JOCA副理事長 渡邊 智恵子

長野県上田市にある信州大学繊維学部のキャンパス内に農場があります。
この農場の約2反分にオーガニックコットンを栽培したのが4年前であります。
繊維学部には綿の在来種から外来種合わせて25種類くらいの綿を育て、種の保存
をしています。種の保存だけで、それを糸にして生地にして製品にするという一連の
工程を観える化をしておりませんでした。
わが社は小さい会社ですが、その観える化をしっかりとしてきたつもりでしたので、
わが社がオーガニックコットンの栽培をすることによって学生たちにも工程の一部始終
を勉強してもらえると考えました。

もちろん、一般の人たちにも自分で綿の栽培をしてその綿からT-シャツができるこ
とを体験してもらおうと長野オーガニックコットン t-シャツプロジェクトと名をつけて
公募をして種植えから草取り、収穫をしてもらいt-シャツとしてお返しをするという
斬新な(?)アイディアで皆さんの農業体験を促してきました。

農業のお手伝いをして一万円を払ってそれでt-シャツ一枚をいただくという、
ひょっとして詐欺のようなプロジェクトにも
とても喜んで参加してくださる都会の人たちがいらっしゃるんです。
農業体験はお金を出してもやる!
都会の人たちのNeedsがあることがわかりました。

まぁ、受け入れるほうもそれなりの準備やらがありなかなかと大変なところもありま
すが、それを楽しみと考えないと長続きはしませんね。

でも、やはり農業は楽しいです。
なんというのでしょうか、体の疲れ方が違うんですよね。
大地のエネルギーをチャージできるとでもいうのでしょうか。

この信大の農場では茶綿を植えています。
希少価値があるからね。
でも収穫量は少ないです。
昨年は豊作でした。
この茶綿を入れたt-シャツが今年の6月から販売されます。





次回は福島のオーガニックコットンプロジェクトを載せます。