日本オーガニックコットン協会は、人と地球を守る活動をしています。
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JOCA連載コラム vol.10

オーガニック・ビジネスーアメリカでは?

JOCA理事長 日比 暉

ごく最近、米国のOTA(Organic Trade Association)が発表したニュースを2つ
お知らせします。

(1)出産前の女性、おなかの赤ちゃんのために果物や野菜の残留農薬にご注意!

OTAは、最近相次いで発表された3つの調査研究結果を紹介している。
それによると、ごく一般的に使われている農薬を体内にとりいれた妊婦の子どもは、認知に関わる発育に有害な作用を受ける危険性が高いことが分かった。例えば、IQの低下や論理や記憶力の障害などの影響を受ける。

ハーバード大学公共衛生学部環境健康科のチェンシェン・ルー博士(*)は、『妊娠中に農薬曝露が少ないことは、自分の赤ちゃんがいろいろの病気にかかる危険性を減らすことになる。妊娠中は、ふだんより沢山食べるので、農薬の摂取を減らす効果的な方法は、有機食品を食べることである』と言っている。ルー博士によると、コンベンショナルな方法で栽培した果物を食べた子どもの尿からは、残留農薬が検出されたが、有機作物に切り替えたら、子どもの尿から残留農薬が消えたという。
(*) Dr. Chensheng (Alex) Lu;Department of Environmental Health at the Harvard School of Public Health

国立衛生研究所の援助で行った研究によると、知的発達障害は、最も広く使われている農薬の摂取や、環境面での接触と関係していることが分かった。この調査では、農地とか都会とか、育った環境によって分類して調査を行った。鉛の専門家であるブレンダ・エスケナジ教授(*)(カリフォルニア大学バークレイ校)は、妊娠中の農薬曝露の影響を高濃度の鉛曝露に例えている。鉛は、小さい子どもの脳の発育を阻害するからである。
(http://ehp03.niehs.nih.gov/home.action)
(*) Professor Brenda Eskenazi;University of California at Berkeley

『有機栽培では、有毒で生分解性のない化学薬品の農場での使用を禁止している』と、OTA専務理事・CEOのクリスチン・ブッシュウエイは有機食品を勧めている。
(http://www.organicitsworthit.com/)
オーガニック生産は、有毒で生分解性のない農薬や合成肥料を使わない農業であり、有機栽培の食料品は、抗生物質や合成ホルモン、遺伝子組換え種子などを一切使っていない。

(2)米国のオーガニック・ビジネスは好調!

オーガニックコットン16%の急増 (2010年)

米国のオーガニック産業は、2010年には290億ドル(2.4兆円)の売上げを上げた。前年比8%の伸びを示している。最近のアメリカ経済では、「前年並みが今の成長」と言われているので、オーガニック産業だけは、特別の成長を続けていることが分かると、OTAが調査結果を最近発表した。(*)
(*)OTAの2011 Organic Industry Survey

OTAのCEO兼専務理事のクリスチン・ブッシュウエイは次のように説明している。
『米国の食品全体の売上げは、2010年1%未満の伸びに留まったが、有機食品の売上げは7.7%の増加で、消費者は、オーガニック商品を選ぶ方向に進んでいる。この傾向は、有機農業や有機ビジネスが米国経済や地方の生活に貢献していることを示している。米国経済の低迷の中で、オーガニック産業は成長を続け、雇用を増やしている。』
今オーガニックで最も伸張しているのは、果物と野菜で、有機食品の39.7%を占め、米国の果物と野菜の総量の12%近くに達している。2010年には、前年比11.8%増の106億ドル弱の売上げであった。第2位は乳製品で、9%増加し、39億ドルの売上げを上げ、米国乳製品市場の6%を占めた。
有機食品以外の分野では、オーガニック製品の2010年の売上げは、前年比7.4%増の6億8100万ドルであった。オーガニック繊維製品は前年比16%増の6億500万ドルに達し、パーソナルケア商品は前年比6.6%増の4億9000万ドルであった。
(2011.4.27記)