JOCA連載コラム vol.2
エシカル・ファッション
私たちの日常生活に溢れる綿とはどのようなものがあるでしょうか?
布団、シーツ、ピローケース、タオルケット、綿毛布、パジャマ、下着、タオル・・・
Tシャツにジーンズ、ハンカチ、など。
本当に身の回りには綿がたくさんあります。
綿は農産物として畑に種まきされてからおよそ2年の歳月がかかります。
実は、コットンの原料となる綿花には収穫までの間に大量の農薬が使われているのです。
綿花の栽培は世界の耕作面積のわずか2.5%に過ぎませんが、そこに使われる農薬は、ピークとなった1990年代には、全殺虫剤の約25%も綿花栽培に使われました。その後、使用量は減らされてきましたが、それでも2008年の段階で、殺虫剤は16%も使われていますし、殺虫剤をはじめ落葉剤・除草剤などの農薬全体としては、7%を占めています。綿は農薬多消費型農産物といえます。
そこで働く農民の健康被害や、不当に働かせられている子どもたちの環境が大きな問題になっています。
自然素材の綿といわれていますが、実態はそのイメージとはかなり違う過程を経て、私たちの手元に届いているのです。
本当の意味で、環境にも人にも優しい綿というのが、オーガニックコットンです。
オーガニックコットンは、化学肥料の代わりに有機肥料を使うとか、殺虫剤の代わりに害虫の天敵、例えばてんとう虫などを放し駆除してもらうなど、環境に対する配慮をしながら作られているコットンです。
農民の生活を脅かさないこと、工場などで働く人たちの健康や労働環境を守ること、子どもを働かせないなどを基準の中にしっかり盛り込んでいます。
このように人に対しても優しい、被害を与えない、倫理的な判断をもって行動すること。
最近このことをエコロジカルと並べて「エシカル」と呼んでいます。
「エシカル」とは、<倫理的な>という意味。
オーガニックコットン商品は、この「エシカル」の理念を実現するためのひとつの方法となります。
そして、こういったオーガニックコットンの商品を「エシカル・ファッション」と呼んでいます。
私たち日本オーガニックコットン協会では、このような理不尽なことや環境にダメージを与えることのない行程を経た「オーガニックコットン」の啓蒙普及に取り組んでいます。
基準を設けて管理監督し、それに則して栽培され、製品化されたものを認証するのも活動のひとつです。
正しい事実を伝え、より良い方法で生産された商品を消費者にお届けしたいと願っています。