日本オーガニックコットン協会は、人と地球を守る活動をしています。
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JOCA連載コラム vol.6

今の世界でオーガニック農業は
どのような位置付けになるのか

JOCA顧問 森 和彦

今の世界でオーガニック農業はどのような位置付けになるのか、分かる範囲で調べてみました。
テータの取り方や計算の仕方でかなり違いがありますが、全体としてみると、なんとなくこんな感じなのかなと分かると思います。


<b>地球の表面積は5億1千万km²あるのだそうです。
そのうち海洋が占めるのが3億6千万km²、陸地は1億5千万km²で約3割です。ほとんどが海なのですね。

この陸地面積をヘクタールで表わすと150億ヘクタールで、そのうち農用地が50億ヘクタール、森林が40億ヘクタール。残りの60億ヘクタールは都市、砂漠、沼沢地などです。
農用地50億ヘクタールのうち耕地は15億ヘクタールで、残りの35億ヘクタールは牧草地や果樹園ということになります。
言い換えれば陸地面積の10%が耕作可能な土地と言うことです。

この15億ヘクタールの耕地は穀物用に7億ヘクタールが使われ、その他が8億ヘクタール、綿花栽培もこの8億ヘクタールの一部です。
クロップ・ローテーションで作物は変わりますが、面積の割合はあまり変わらないのだと思います。

農業に携わる人口は世界でおよそ20億人と言われています。約3割の人口が農業に従事していることになります。
先進国はその割合が少ないですか、アジア・アフリカでは50%近い割合になります。

オーガニック農業の面積は2010年2月のBioFachでIFOAMが発表したデータによると、約35百万ヘクタールで、この内訳はグラスランドが22百万ヘクタール、クロップランドが8百万ヘクタール、その他が5百万ヘクタール。
農用地50億ヘクタールのおよそ0.7%が35百万ヘクタールのオーガニック農地で、うち6割強が牧草地です。(日本の国土の面積が36百万ヘクタールだそうですからほぼ同じ広さです)
オーガニックのクロップランドの8百万ヘクタールは、耕地15億ヘクタールに対して0.5%の比率です。

オーガニック35百万ヘクタールを地域別で見るとオセアニアが12百万ヘクタール、ヨーロッパとラテン・アメリカがそれぞれ8百万ヘクタール、アジア・アフリカで7百万ヘクタール。
オセアニアはオーストラリアの牧草地が大きなシェアを占めています。
面積で上位20カ国を上げると表1のようになります。


オーガニック農業に携わる人口は調査した国の合計で138万人、農業人口20億の0.07%、中国など不明国が多くもっと多いはず。
オーガニック農業人口はインド34万人、ウガンダ18万人、メキシコ13万人、エチオピア10万人と続きます。
面積と生産者を比較すると大きく違うのが分かります。

次に綿花栽培を見てみると、世界80カ国で31百万ヘクタールの耕地が綿花栽培にあてられ、耕地全体15億ヘクタールの2.1%を占めます。
日本の国土と世界のオーガニック農地より少し狭いぐらいの広さです。


表2から分かるようにインドは世界最大の作付面積なのにイールドが低いため、綿花生産量では中国に負けています。
またイールドの数値ではアメリカが意外と低いのも分かります。

次に世界の綿花生産量を見てみましょう。


2010/11綿花年度は11月の推定です。
前年が生産量を大きく減らし、価格が上昇したため今年は作付け面積が増えかなりの増産が見込めるのですが、それでも在庫が少なく、価格は歴史上はじめての水準まで上昇しました。
気象条件が良ければもっと伸びたのでしょうが、今年はイールドが低いようです。

この綿花栽培のうちオーガニックコットンを見てみましょう。Organic ExchangeのFarm & Fiber reportからの抜粋です。
数字は2008年と2009年が使われているようです。

綿花全体の面積の0.8%です。ここでも中国のデータが不明です。
その他の国の8,526ヘクタールに含まれているようです。次にイールドを見てみましょう。


イールドの世界平均は下記のオーガニックコットン生産量の2007/08綿花年度の数字145,868トンを栽培面積253,000ヘクタールで割った数字ですが、高すぎるような感じがします。
綿花全体のイールド1,050kg/haに対してオーガニックコットンの577kg/haは55%、途上国が中心なので将来は改善する余地があるということでしょう。


解説も要らないと思いますが、インドとシリアの急増が目立ちます。
上位3カ国の合計は全体の90%を占めています。
Oraganic Exchange Farm&Fiber Riport2010のNo.5をリリースしました!
変更内容お知らせいたします。(2011/1月31日)
コチラをご覧下さい。

国別でなく地域別で括ったデータもあります。

こうしてみるとアフリカが次第に重要度を増しているのが感じられます。

オーガニックコットン栽培に携わる世界の人口は22万人、内訳はインド117,000人、アフリカ95,000人、ラテン・アメリカ2,000人、その他6,000人です。
インドはオーガニック農業に携わる人口340,000人の34%がオーガニックコットンということです。
オーガニック農産物の世界の小売価格は2009年で50.9 billion USD、約510億ドル、日本円に換算すると約5兆円。IFOAMのデータ。
オーガニックコットンの世界の小売価格は4.3 billion USD、43億ドル、日本円で約4千億円。Organic Exchangeのデータ。
2010年の世界の人口も参考に挙げておきます。